秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

社会民主主義社会の出現

昨日は、夕方近くまで撮影。久々に教育評論家のO氏と会う。

大学教授の仕事をやりながら、評論家活動、講演活動、執筆と多忙な日々を相変らず、送っていらして、昨日は、風邪気味で顔色も優れないところ、長い付き合いだからと時間をとっていただいた。

インタビュー取材は、ものの30分ほどで終わっただが、取材前、取材後、昨今の政治の話になる。

O氏は、民主党の政策については、政権交代の時期にあれこれ細部に亙って検討するようになったらしいのだが、聞けば、オレとまったく同意見。

民主党がやろうとしているのは、社会民主主義政治経済体制なのだということに思い当たり、これは、これまでの政治経済体制とは、まるで違う、まったく新しいパラダイムなのだということに強い共感を覚えたという。

テレビの報道番組や報道バラエティにも出演の多い氏は、それゆえに、昨今の報道関係者やタレントの的をはずれた質問や発言に戸惑いと不安を隠せない。

前にもこのブログで書いたが、いまのマスコミ報道には、民主党が目指している社会民主主義制度へのパラダイム変更が、まったくといってほど、理解できていない。理解できていないから、55年体制の自社対立のような構図で、民主党の政治を理解しようとする。

そこに、齟齬や的外れ、見当違いの報道が生まれてしまっている。さすがに、ここ最近になって、ぼんやりとながら、民主党が目指す、あたらしい政治の枠組みが見えてきたようで、こまれでの軽薄な民主党批判をしなくなった報道マンやタレントもいる。

しかし、産経新聞や読売新聞は、相変らず、揚げ足取りのような民主党批判の報道を繰り返している。

臨時国会が始まれば、自民党は、政策論議よりも、鳩山を始めとする政治献金問題など、個人攻撃を中心とした一斉砲撃を始めるだろう。政策論議では、明らかに民主党の方が国民の声を反映し、一枚も二枚も上をいっているからだ。旧来の競争原理を軸とする新自由主義と、福祉・生活保障を優先させ、すべての国民が安心できる社会を創造しようとする、社会民主主義では、どちらに軍配が上がるかは、明らかだからだ。

オバマが、新ニューディール政策といわれる、グリーンニューディール政策へと政治経済の舵を大きく切ったように、いま、世界は、市場原理による無作為な自由主義から、社会民主主義的な国家づくり、それをもとにした、世界の均一な連携を目指している。

一部の権益を持つ人間や集団、一部の富める国だけが自分たちの都合で国、世界を動かす時代は、もう終わっている。そこに、アメリカの覇権主義は凋落したし、中国、ロシアも世界のその動向を無視できなくなっている。

この国が、戦前まであった、日本的共同体社会=社会民主主義的政治経済制度を、いま必死に学習し、国、社会、地域、企業精神の中に生かそうとしているのは、隣国の中国だ。過度の競争原理によって、同じように、かつて中国に深く根ざしていた地域を基本とした、共同体社会がこわれ、様々な問題を生んでいることを、中国政府はわかっている。それをわからせるほどに、日本の自民党政権の凋落は、大きなショックを与えた。

しかし、日本国内にあっては、依然、新自由主義の社会が続き、自公独裁によって得られた権益や社会システムが続くと勘違いしているマスコミ、官僚、企業人がいる。国、政府が社会制度を動かすという社会民主主義への変更がわかっていなから、JAL問題においても、銀行は債権放棄もしなければ、追加融資にも応えない。

企業ありき、金融ありきの時代は、もうすぐ終わる。その危機感がまったくなく、ソファにふんぞり返るような対応を当然としているのだ。現実に、民主党は、企業からの政治献金の禁止の協議に入った。

これまで、政治が企業の顔色を伺う背景になっていた企業献金が禁止されれば、これまでのような企業優先の論理は通じなくなる。まして、アホなマスコミは批判の的にするだろうが、ONE FOR ALL ALL FOR ONEを前提とする社会民主主義社会では、自由社会とはいえ、企業の独善と我侭は、許されなくなり、場合によって、政府の力で、強制執行することもできる社会なのだ。

その強制執行も国民生活の保全、保証のためなら、国民は支持する。