秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

人のいいクマ

夜、1時間のウォーキングを終えて、ストレッチをしていると、めずらしくばばあから電話。

オレが、ばばあというのは、乃木坂の地酒の店、ハンナのママのこと。何かと思えば、近くの老舗蕎麦屋の大女将が、歯の調子が悪く、オレが通っている六本木の歯科を紹介してくれという話。

オレは、左奥歯を抜歯して、8月、インプラント手術を受けることになっていたが、企画書書きやあれこれあって、数ヶ月治療にはいっていない。しかし、腕は確かだし、金額も良心的。という話をしていたのを、ばばあが覚えていたのだ。

以前、一人で顔を出したときに、DVDらしきものを渡され、自分はパソコンができないから、中身を見てきてと頼まれていた。そのことが、丁度、気になっていて、ノートパソコンにかけると、なんとROM。原稿データを入れたものとわかり、相当枚数はあったが、すべてプリントして、ウォーキングのあと、持っていってやろうと思っていたところ。

不思議なもので、誰かのことを気にかけていると、ふと相手から連絡をもらったり、ばったり出くわしたりする。とりわけ、ハンナのばばあとは、それがよくある。奴がもっと若ければ、恋が芽生えていてもおかしくなかっただろう。

で、事務所に戻り、シャワーを浴びて、ハンナへ。

「全部、印刷してくれたの?」と、やや感激気味。そして、そういば、部屋の片付けをしていて、いらないものがあったからさと、またまた、あれやこれや、オレにくれる。

何かの付録サービスのものだったり、どこかで買い物して使わなかったものだったり、もらいものだったり。MORI HANEの女性向けの小銭入れ、小倉織の上品な男性向けの小銭入れなど、紙袋いっぱいにくれる。店まで、持ってくるのも重かっただろうに…。

たまにしか、飲みに行かない客なのに、本当に、いつも天然塩だの、港区の融資案内だの、生活のことや仕事のことで役に立てばと、あれこれくれる。

どこか、亡くなったおふくろに心配されているみたいなところがある。それもあって、オレもばばあのことが気になるのだが。

ばばあ、プリントしてあげた御礼のつもりか、デカンタにいっぱいの真澄をそそぐ。汗をかいたあとのすきっ腹で、あっという間にいい気分に。

そうこうしていたら、最近、相談おじさんになっている、元女優、グラビアアイドルのKから、いきなり、「Red、私もいきたいでーす」のメール。突然、唐突。

最近の超若い女子の言動は、前後、脈絡がない。どうして、いきなり、Redにいきたくなったのか、なぜ、それを思い立ったのか、まったくわからない。たぶん、俳優の長部努あたりとメールのやりとりをしていて、思い付いたのではないかと想像するが、ま、いつもように、戯言交えて、メールの交換をしばし。

基本、オレは、メールなどで、こうしたい、ああしたいというのが来たとき、その理由を問うことをしない。メールという手軽なツールは、心のまま何かを伝えたいというときに便利にできている。それがわかっているから、そこで、あれこれ本質にふれる話をしても仕方がないと考えているからだ。

人は、思いつきやそのときの感情で、脈絡もなく、だれかになにかの信号を発信するときがある。

そういうときは、信号の意味を探索しても仕方がない。意味をなさない。意味をなさないところで、なにかを伝えたいから信号を出している。心のサインとは、そういうものだ。それを暴いてどうする。

最近は、そういうことを暴きたがる男が多すぎる。それはそれでいいのだ。そう考えてあげることが、男のやさしさというものだ。

ばばあだって、どこかでオレに会いたいと思って、丁度、連絡することがあったから、携帯にまで電話してきたのだろうし、Kだって、同じようなのだと思う。それでいいのだ。

酔った勢いで、あれこれ、おバカなメールをやりとしていたら、自宅に戻り、そのうち寝てしまった。朝、目覚めると、Kからは、メールでなく、三度も電話が入っていたが、どうやら、オレは、ブチっと切ってしまっていたようだ。

またまたお詫びのメールを入れる。と、またもやメールでなく直電。オレに逆キレされたと思ったらしい。で、結局、Redに連れて行く約束をする。

こんないい加減なオレなのに、あれこれ連絡してくれる人がいるということは、本当にありがたい。当てにされたり、頼りにされるということは、面倒なことのようだけど、嬉しいものなのだ。

しかし、オレもいい人ばかりはやっていらないない。ときには、悪をぶっちゃけ、癒されたい。

Kのメールに、実は、オレはワルだぞと、デコメの悪魔マークをつけたら、これ、クマさんですかと返信しやがった。さすが、K。なかなかやる。

DICESELでつっぱってはいるが、オレは、もはや、人のいいクマさんとして生きるしかないのだろうか…