秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日本的共同体社会

昨夜はRedコア常連のカラオケ大会?

Redのコア常連、カリスマ、ヒロ、ベティ、イモト、仕事オフ日のメグに、マリ、ネーリストのK、ボーカリストのRyoが指導員?として参加。

オレのブログを読んでいる、Kが、『忘れられたBIG WAVE』をみつけてくれる。最近、耳から離れないというベティのリクエストで、またまた『雨上がりの夜空に』を熱唱する。

この歌を歌うたびに、オレと一つ違いで、亡くなった忌野清志郎のやさしさとユーモアと、それでいて、実は、恐ろしく冷徹にいまの社会を見抜いていた、鋭く、さびしい感性を思い出す。

がむしゃらでもなく、いきがるでもなく、しかし、胸に秘めた反社会の明確なポリシーと主張を持ち、軽薄で薄っぺらな批評的正義や表層的な正しさを、嫌っていた。しかし、それを声高にかっこつけて表現するのではなく、アイロニーやジョークにくるんで、表現する、かわいい、照れたセンスの人だった。

Ryoが、歌唱指導で、正しく歌うことよりも、歌に心を込めることが大事なのだと話していたが、まさに清志郎の歌は、そういう歌だった。美空ひばりと交流が深かったのも、そんな歌心で共通するものがあったからだ。

カラオケスタート前、病欠のハマの話題、子どもの運動会で参加が不明だったOちゃんの話題、長期病欠のRyokoの話題、週末集中仕事人間のイガの話題など、コアの他の仲間を心配する話題も出る。

カラオケより話に夢中で、マリ、Kとオレの三人で飲んでいると、Youも参加して、昨今の政治の話になったのだが、鳩山の国連演説での友愛ではないが、戦前、そして、戦後の復興期まであった、日本的共同体社会の話になった。いや、した。

困った人がいたら、手を伸ばす。苦しんで悩んでいる人がいたら、声をかけ、話を聴く。自分に何か奇跡が起こせるわけでも、その人の痛みや苦しみをすべて解決できるわけでもないが、そうした人がいたとき、人として当然のこととして、手を差し伸べることができる社会や地域。それが、日本的共同体社会の美学であり、強みだった。

それがあったればこそ、戦争中、物資や情報戦で明らかに劣勢でありながら、大国アメリカを震撼とさせ、振るい上がらせるほどの戦争を遂行できたのだ。もちろん、そこには大きな間違いがたくさんあったが、自分の国のため、村のため、そして家族のために、必死で無謀な戦争へ立ち向かった日本人の矜持が、結果的に敗戦後の日本を瞬く間に、世界第二位の経済大国まで成長させた原動力だった。

そこには、戦前からの日本的共同体社会の相互扶助、いわゆる友愛精神が、まだとこかに生きていたからだ。日本人には、日本人にしかできない社会のあり方、社会の姿がある。それが、島国根性だの、グローバルスタンダードの国際社会で通用しないといわようと、それが日本、及び日本人のアイデンティティなのだ。

それを失ったところに、この20年の日本の悲惨は生まれている。

Redは、小さな飲み屋だが、そこに集う人間同士に、日本的共同体社会のよき姿が復刻できなければ、それは、家庭、地域、引いては、社会における復刻という変革もできはしない。オレは、そう思っている。

つまりは、自分の生活の当たり前の日常において、一人ひとりが自覚的に相互扶助の実践を積み上げていくしかないのだ。

マリが、「そんな国になったらいいのに。して欲しいです…」とポツリといった。

オレは、「誰かがしてくれのではない。まず、自分がその実践を生活の中でやることさ」というと、Youが「カントクがブログでいつもいっているように、オレたち自身が小さいところからでもやるしないと思う」と語る。

それを聴いて、マリも「そうですよね。まず自分から始めなくてはいけないんですよね…」と悟る。

普段、そう顔を合わせるわけでも、頻繁に連絡を取り合うわけでもないが、そこに、いつもいる顔、馴染んだ誰かがいなければ、その人間のことを、ジョークを織り込みながらでも、心配する。その心根が大事なのだ。

昨年の後半から今年にかけ、経済不況の影響もあって、Redのコア常連たちもみんな忙しい、生活や仕事での課題もあるだろう。この同じ社会に生きていれば、同じ社会の問題や困難は、みんな等しい。

同じ社会に、いま同じ時間に生き、そして、偶然、ここで出会い、互いの生活のすべてではないが、多くを知るようになった。そこに、見えない繋がり、絆があるのだ。それが自覚的あるにせよ、そうではないにせよ。

1つの歌をみんなで熱唱できる。特定のスポーツチームを応援するためにでもなく、特定の団体の仲間が一致団結するために意図してやるのでもなく、ただ、1つの歌をみんなが自発的に熱唱する。そんな空間は、いまこの国に、そう多くはない。

そこに日本的共同体社会を再構築するヒントが隠されている。