秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

遅ればせながら

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教育映像祭優秀賞の楯。ささやかな賞なのに祝ってくれたRedの常連みんなに、御礼を込めて、公開します。改めてありがとう。

正式名称は、教育映像祭優秀教材選奨優秀作品賞という、いかめしいもの。前にも報告したが、これでオレの作品は、三度目の受賞。大体、教育映像祭で受賞する作品は、教育映画市場では売れないというのが定説。社会性が強すぎたり、映画然とし、尺(時間)が長すぎたりで、販売に不向きといわれているのだ。

幸いにして、この受賞を含め、オレの作品は、その中でも売れている。地味な社会教育映画、教育映像をコツコツ制作し、売り続けている東映教育映像部のみなさんに感謝。自主作品の販売でも大変お世話になっています。

視聴覚教材の協議会に参加していないと受賞対象にならないので、うちの会社で制作する自主作品は候補に挙がらない。

これまでの受賞は、だから、蟠鞠曚1作品と東映蠅2作品。かの新藤兼人監督を始め、いわゆる社会派監督といわれる監督たちのほとんどが、こうした場を活動の場として、大賞を含め、この賞を受賞している。フィルム主流だった一時代前まで、教育映像は、良識ある映画人にとって、社会矛盾を描くことのできる貴重な表現の場だったのだ。

こうした社会映画のノリから、かのATG(アート・シアター・ギルド)も出てきたし、そこから名作、佳作といわれる良質の映画も誕生した。メジャーではできない、題材や人、視聴者、そして限られた予算へのいい意味でのこだわりがその力をつけているとオレは思っている。

長編作品と違い、長くても1時間、一般的には20分から25分の作品の中で、いまある社会問題を描くというのは、脚本においても、演出においても力量が問われる。短い限られた中で、映像表現するには、俳句や短歌のように、無駄を削り、散漫さを切捨て、エッセンスを抽出する技量が必要とされるからだ。

だらだらとカメラを長回しして、監督の思い入れで心象風景を描くようなマスターベーションなどしている時間がない。思い入れをわずかな言葉、シーン、役者の演技で垣間見せる技が必要。それは、オレの尊敬する世阿弥の世界に通じる部分がある。

自分にとっては、貴重な表現の場であるばかりでなく、いい修練の場をいただいていると思っている。ショートムービーに力の発揮できない脚本家や監督、スタッフは、大作でもいい仕事はできない。オレは、そう確信している。その意味で、秀嶋組のスタッフの技術力にも、努力にも深く感謝している。

連休明けには、自主制作作品の脚本にもとりかからなければならない。また、幸いにして、舞台上演のフォーマットづくりも見えてきたので、旧作の手直しにも入る。はたまた、酒豪編集者Rがなんやかや多忙なので、懸案の書籍は、企画を練り続けるより、執筆した方がよいと、勝手に原稿書きに入ろうとしている。

またまた、書き物と制作段取りに追われる日々がやっていくる。

遅ればせながらと、スタッフやRed常連たち、役者たちに案内できるよう、孤独な奮闘努力の闘いが始まる。メタボの騎士は、今日も内腹筋を日々鍛えながら、ドンキホーテよろしく、風車へ向かって突進する…。