秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

日本のぬくもり再生

港区の健康診断案内が毎年くる。

6月くらいにとどくのだが、いつもいくのは、締め切りの11月近く。どうしてか、企業の定期健診を受ける仕事関係の人間に聞いても、健康診断の前は、やたら健康を気にして、ダイエットしてみたり、酒を控えてみたりする。

もちろん、いい検診結果が出るためだが、だったら、普段から健康管理に気を配ってればいいものをと思う。付け焼刃で、数週間、数日の調整をしたところで、そのときは、いい検診結果が出ても、本来の生活習慣の中で、病みそうな点が見つけ出せないではないか。

などと、人のことは思いつつ、やはり、オレも、検診に締め切り近くにならないと受けないのは、前年、前々年の検診結果で指摘されていることが、ちゃんとやれてないから。

昨年は、心電図とっている最中、医者が、「うむむ…」と怪しげな声を挙げ、「うむむ~」と、人を不安にさせる溜息をつく。なんでも、「あなたの心電図は、心筋梗塞心不全、心臓肥大といった、どの心臓疾患の予兆ともいえる、不整脈が見られる」というのだ。

「じゃ、どこかで、再検査でも、必要なのでしょうか…」と聴くと、「いや、それには、及ばぬ。運動して、体重を減らして、もう一度心電図をとってみましょう」といい、中性脂肪の高いオレに、「投薬で落とすという方法もあり、薬物治療という手もあるが…」と、いいかけ、「やはり、体重を落として」となる。わけわからん。

数年前には、心電図ではなく、レントゲンで心臓肥大かもといわれ、以前、胸膜炎で緊急入院した、心臓血管研究所で、あれこれ精密検査をしてもらった、異常なしだった。もしかして、やぶ?と思いつつ、やはり、医者にあれこれ言われれば気になる。

実は、40代の後半の頃、自分でも動き出しに、動悸や息切れがし、これはヤバイと思い、知り合いの医師に看てもらったが、異常はなく、ニトロだけもらったことがある。そのときも、いい加減で、「胸が痛いとき、ニトロ飲んで、よくなったら、なんかあるってことだよ…」。おいおい。それでも、ハーバード大学院出るのかよ、といいたくなった。

心臓の欠陥は、実は、なかなか微弱なときは、わからないらしい。とりわけ、オレのようにタバコをやり、酒をやり、女子と遊ぶのが好きで、なおかつ、資金繰りや仕事のストレスを、どんと抱えている人間は、じわじわと心臓をやられる。

だから、ある程度の年齢になれば、運動と体重コントロールは、心の健康の上でも意図しなくてはいけない。それもあって、ウォーキングやジョギング、ストレッチ、筋トレは、少しの時間でも毎日取り入れるようにしているのだ。

だが、そうした、手入れ、心遣いを自分のためにできるのも、心が安定していなくてはいけないと思う。
あれこれ心配ごとや考えごとがあっても、ま、大丈夫だろと、心を落ち着かせるセーフネットをどこかで実感できていなければ、安定もない。

今度の内閣で、国民新党から、亀井静香が、金融担当大臣になった。

実は、オレは影の亀井支持者だ。郵政事業の見直しによって、過疎地や島といった隔絶した地域への救済ネットワークを守ろうとする考え方は、日本的共同体の基盤を失ってはならないという考えに基づいている。

また、中小零細企業の現実をよく知り、バブル崩壊後の惨憺たる状況の中で、中小企業緊急特別融資を実行した人物だ。亀井の考えは、官僚的、データ主義の金融関係者からすれば、受け入れられない面があるのだろうが、それを亀井は、金融関係者の自己保身だと言い切る。

「金融には、社会使命と役割がある。うまいことやって、自分たちだけ安全で、儲けられればいいという考えは、金融の本道にあらず。経済のセーフティーネットの一翼を担うものだ」というのが亀井の考えだ。

とりわけ、中小零細企業を支えなければ、底辺の生活者、雇用を守れない。それは内需にも結びつかないことになる。杓子定規な考えでは、日本の中小零細を潰す。それでもいいといのは、自己保身だと論破しているのだ。

実際、自分でも融資を受け、事業をやっている人間だからわかるが、この数年の金融関係の審査の細かさ、厳しさはわかっている。銀行がOKを出しても、保証協会があれこれハードルを高くするということもいまでは普通だ。以前は銀行の審査を通れば、よほどのことがない限り融資は動いた。

亀井が貸しはがしといっているのは、融資を条件に、過去の残債や他行、ノンバンクを含めた借り入れを事前に返済しろと突きつけてくることをいっている。

借り手の側は弱い立場だから、あれこれ工面してそれを清算する。それはそれで、借り入れ負担が一つ減るということで、経営の健全化にはよきことだが、それならば、貸付をしてからでもよいこと。それが、まず、返済ありき。これは、一種の貸し剥がしでなくてなんだのだと、亀井はいいたいのだ。

オレの心臓にせよ、ある程度、元気なうちに、あれこれ手当てをしておかなくては、後々に禍根を残す。

日本の金融も、日本経済の基軸の中小零細企業を見切っていては、経済の建て直し、引いては、金融の活性化もないのだ。

確かに、金融は信用と信頼が第一。そのために、無謀なリスクは受けられないが、できる限り、経営と雇用の安定のために腐心するのが、金融マンの矜持ではないのだろうか。

日本という身体の血管が末梢血管まで、血液の行き届くようにするためには、冷えた手先、凍えた足先を温かなぬくもりで癒すことも必要なのだ。