秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

Kの成長

女優・グラビアアイドルをやめた、Kと久しぶりに新宿中村屋でお茶をする。

3年近く会っていなかったと思っていたら、1年くらいですよ!と、指摘される。もう20歳になったべというと、誕生日は3月ですよ!と、叱られる。介護福祉士の勉強はどうだと聞くと、管理栄養士ですよ!と、またまた叱られる。監督は、ちっとも私の話聞いてないんですね! そのスネた仕草は、すっかり大人の女だ。

まだまだ20歳の内面の幼さはあるが、やはり実年齢より上に見える。女優をやめて、服装や髪の色、形の規制もとかれて、自由になった分、より女っぽくなった。

見かけの割りに精神的に弱い面もあり、大学生生活を始めてしばらくは、いろいろあったらしい。見かけ青学風のオネェちゃんに見えるから、超地味系の管理栄養士の国家試験合格を目指す学校では、浮いていただろう。それに、恋愛でもショックなことがあたらしい。どこか居場所がみつからず、信じた恋愛もうまくいかず、新しい目標に向かってがんばるしかないと、ある意味、必死になっている。

通学時間4時間半。バイトもやり、学校の勉強は半端なく、平均睡眠時間2時間。彼氏がいなくなり、フリーになったら、男の誘いが増えるのは当然。男たちとのメシにも付き合えば、そうなる。

そんなこんなの生活を変えたいと思っている。資産家の家に育った唯一の女子。これまである意味、過保護の中にあり、自分の好きな俳優、タレントの道を15歳のときからやらせてえもらえた。それでは、いけない。人間的にダメになる。いろいろ体験してみて、奴がたどりついた結論。それも、大人になった。

新しい道を踏み出し、新しい風や波に打たれ始め、それに向かっていこうという気持ちが一人暮しを決意させた理由かもしれない。が、いろいろと不安もあるのだろう。これまでも、連絡をくれながら、なかなか時間がとれなかった奴が、今回は、短い時間でも、オレに会おうとしたのは、気持ちを支えるものが欲しかったからに違いない。

いまの若い連中は、身近に何でも話せる人間が少ない。家族仲がよくても、家族だからいえないこともある。友人をつくるのにも、ストレスがいる。恋愛はいつか裏切られる。軽薄にいくか、傷つくかしかなく、上手に、ほどよく人と付き合うことが苦手だ。だから、ぶっちゃけ、セックスや色恋沙汰から仕事のこと、これからの生き方をさらりと語り合える人間もいない。

Kの話をあれこれ聞き、奴のいまの状態がよくわかった。奴がオレに何をして欲しいのかも察しがつく。仲間と飲み会があるという奴と別れた。自分の置かれている状況をちゃんと読んでいる。成長したとつくづく思う。

事務所で雑用を片付けて、コレドへ。オーナーのMさんが戯曲、演出した芝居をやるというので、顔を出す。マエストロのSさん、劇団MのKさんといったなじみの先輩もいたのだが、人が多く、あまり話しもできないと場の状況を読んで退散。

Redに顔を出すと、珍しくイガとハマがいる。久しぶりの3人だけのそろい踏み。久々、下ネタから恋愛、政治、思想、哲学を語る。当然、下ネタ、エロ話をマジな話にふんだんに織り込みながらだ。明日6日が、広島の原爆投下記念日ということで、アメリカの無差別爆撃批判は熱を帯びる。オバマ核廃絶宣言を賞賛する。

イガが先に帰り、ハマとオレ、Redのまともな大人?が二人残り、一杯ずつ飲んで帰る。メグは、いい勉強をしている。初めて3人のバカ話を聞いて、いろいろと思うところがあったように見えた。状況を読む力は、女性の方が、いまは上だ。読めないのは、男の方。

元女優のKの周囲にいる男たちの話を聞くにつけ、Redの女性陣の話を聞くにつけ、つくづくそう思う。新しい一歩や新しい道へ踏み出すために、状況をきちんと見るというのは大事なことだ。理屈でなく、直感でわかるということが大切だ。

気づきの足りないのは、いつも男なのだ。