秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

海への誘い

昨日、ボランティアの後、遅いランチで、ひとり「胡同四合坊」で黒ゴマタンタン麺を食う。

バブル期に広尾の駒沢通りにバーを併設した、でかい店舗を構えていたのだが、国立新美術館ができる数年前に、星条旗通りに移転した。広尾時代はよく接待などでも使っていた店。いまは銀座や麻布十番など都内、関東近県にもチェーンがある。

本来、北京ダッグが売りの店なのだが、ありきたりな中華が抜群にうまい。かつ、土日も営業しているので都合がいい。業界人御用達ながら、超、普通の中華屋、赤坂の「珉珉」も捨てがたいのだが、土日はやっていない。しっかり中華が食いたいときは、自宅から近いこともあり、最近、「胡同氏四合坊」が普通になっている。

腹ごしらえをしたら、前夜の飲みすぎで睡魔に襲われる。ちょい仮眠して、ふたたび、外苑前絵画館辺りを鉄アレーをリュックに入れてウォーキング。夏真っ盛りの時期に、すっかり梅雨に逆戻りした気候で、蒸しているせいもあり、大汗をかいて、体が軽くなる。やはり、辛いものと運動は、効果てき面。

今朝、起きるとメタボの騎士の上半身がだいぶ締まってきた。今年は夏のうちに、なんとか海に行き、キレのいい船長さんをやりたいという思いが、モチベーションになっている。

船の免許を持たない連中にはわからない。海は、いつも危険と隣合わせだ。

一緒に船に乗る連中の安全は、すべて船長さんの責任。船遊びになれてない人間は、海の上を走らせると、ふと海の怖さを忘れ、はしゃぎだす。はしゃいで楽しんでいるのを咎めずに、注意を払うのが船長さんの仕事。

乗船している人間を守るのは船長さんの務めなのだ。しかし、あまり、乗船している人間の方にばかり注意がいっていると、海に仕掛けてある漁師の網を切ってしまったり、ほかの船の操船妨害をしてしまうことになる。

船に乗って、愉快に仲間とおどけているようで、船長さんに気の休まることはない。という、教育を受けるのが、船舶免許の基本。かれこれ、8年ほど前に小型一級免許をとったのだが、そのときの勉強は実にためになった。船の免許は、いわばリーダー教育なのだ。しかも、自分と他者のいのちを守ることを前提としている。

気象や船の機関、航海法の勉強など、小型一級船舶は、外洋にもでられるから、その学習量は半端ないが、一番重要なのは、リーダーとして教育。最近は、せっかくリーダー教育を学んでも、その資質がないために、プレジャーボートによる遭難や船舶同士の衝突事故が急増している。

危険をすばやく察知して、引くときには引くという決断がいる。事前に天候や気象を把握しておく、事前準備もいる。乗船者の乗船時の体調をすばやく読み取ることも必要。船酔いなどの兆候を知る力もいるし、船から落ちたときの救援や緊急措置も、心の隅に置いておかなくてはいけない。いのちを、健康を守ることを第一にする強さがいる。

しかし、その緊張の中で、海を走るのは実に心地いい。この天気続きでは、見ることはできないだろうが、快晴の凪のときは、相模湾を走らせながら眺める富士山は最高だ。そうしたときは、釣りは思うほどではないのだが。

船から少し早めに上がるか、海が荒れている、雷が出ているというような状況で乗船をあきらめるときは、江ノ島のスパで過ごす。一人、2600円で終日いられ、いろいろなプールを水着で楽しめる。切り出した洞窟のプールからは、相模湾の海が一望できる。

スパでリラックスし、汗を流したら、江ノ島にある行き着けの「清光園」。名前は中華風だが、コテコテの和食屋アメリ海兵隊とのハーフのおやじ。体はいかついが、気がいい。気に入った奴だと、とことこんサービスしてくれる。そこで、店のメニューにない、桜海老の掻き揚げを無理くり注文する。で、暇だと、おやじも座り、語る。おやじの娘とはとても思えない、美形できゃしゃな出戻りの娘、ナナちゃんをいじり、それで、叱られ、ほどよく酔う。

夕方近くに、店を出て、下の射的屋で、射的やスマートボールでさるの置物をゲットする。

で、最終のロマンスカーに飛び乗り、爆睡。ほどよくよいが覚め、眠りで疲れもとれたところで、新宿着。そこから、焼鳥かなんかで、また一杯やる。

いかん、いかん。思い出しながら書いていたら、マジ、江ノ島が恋しくなってきた。

たまにだが、一人で船の乗りたくなるときがある。この暑さでは一人はさびしいが、秋辺りに風が吹き出すとふと、そう思うときがある。

オレはどうしてか、相模湾の海が好きだ。

オレが死んだら、散骨。撒くのは、相模湾の沖。太平洋の海。
これは、ことあるごとに親しい仲間にいってある。