秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

同じことを言い続けている

地球が悲鳴をあげている…。それは、いまの気候不順やゲリラ豪雨が通常化するずっと前、エコロジー思想が叫ばれるようにった、40年以上前からいわれてきたことだ。

その頃、生物学の世界では分子生物学が注目を集めるようになり、かつ免疫学や遺伝子研究が急速に進んだ。
 
当時、分子生物学では世界的な研究者だった、渡辺格先生。免疫学では、あの養老猛司と東大医学部で同僚だった、多田富雄先生が存命だった。

分子生物学や免疫学、遺伝子といったミクロな生命体の研究の中で、だが、そこから抽出されていったのは、地球は一個の生命体という考えだ。
当然ながら、宇宙の基本には、分子、原子、中性子とったミクロの世界がある。ミクロを突き詰めて研究していくと、地球に生息する生命体にいたり、その生物多様性を支えている地球に至る。私たちのからだには、地球の資源が分子のレベルで含まれている。

そして、地球を成立させている月の引力と太陽の引力、そして、宇宙全体の奇跡的といっていい微妙なエネルギーバランスへとつながっていく。

神の数式といわれる、素数の謎の解読に、数学だけでなく、量子力学、宇宙物理学、分子生物学の研究が導入されるいまになってみれば、ミクロ単位における奇跡といえる地球の誕生と生存が、見えない力に支えれていると考える人がいても不思議はない。

だが、私たちは、この重要な宇宙、あるいは見ないなにかからの暗号、サイファをきちんと受け止めてきてはいない。

高度成長期の公害問題やその後の地球温暖化、そして、いま国内はもとより、世界各地で起きている、異常気象による被害や地震津波被害、これらに付随して起きる、原子力関連事故と被害…

それらに対して、じつに無頓着であり、成長発展は地球資源を食い尽くすことでしか道はないと考えて続けている。人類の知恵では制御不能原子力をあたかも制御可能であるかのような幻想を抱き続けている。

まして、北アフリカ、中東、ロシア、中国では内乱、テロ、紛争が終わらない。それも人同志のいのちの奪い合いだけでなく、地域の土地や自然環境を破壊する行為でもあるのだ。
 
私は大学も終わりの4年の頃、教養時代からの有志でそれぞれの専攻分野や専門分野の学習研鑽を互いに発表し、意見交換をやるという勉強会を西早稲田の古い蕎麦屋の2階の座敷を借りて、仲間とやっていた。

公害闘争あと、第2次エコロジー運動が盛んなときで、雑誌「現代思想」などで毎号、欧米の自然再生研究や保護運動の科学的根拠に基づく論文が掲載されいた時期だ。

私は、そのとき、宮沢賢治の思想と地域の再生、あるいは、都市の地域化を勉強会で提唱した。地球資源を食い潰す経済成長ではなく、もっといえば、これ以上の富の追及ではない、人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の質の向上へと方向転換すべきだという考えだ。

当時、広告代理店への就職が内定していた友人のひとりは、いっていることはわかるが、オレは不便な田舎暮らしの生活なんてとてもできない。だから、これまでの成長発展の路線を否定できないし、それでいい…というような反論をした。

確かに。そうだろう。

だが、その果てあるものを想像できれば、そうならないための別の生き方の創造ができるのではいか。その道の模索を閉ざすということは、人類そのものに知恵がないということになりはしないか…私は、概ね、そのような反論をし、その言葉に、友人は言葉を返せなかった。

私も紆余曲折はあったが、いまもあのときと、同じことを言い続けている。
 
人間の力で自然や地球、宇宙の法則が変えられると考えるのは傲慢なことだ。だが、同時に、人間の叡智と力を結集すれば、自然や地球、宇宙の法則の中で、よりよい生き方を模索し、生み出すこともできる。