秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

消費税と棄民と小沢一郎

国債発行高と国家予算を考えれば、財政再建は急務で、だから消費税増税は苦渋の選択ながら当然なのだ…とアナリストと言われる連中や政治家が語る。
 
しかし、そこのどこにも実際にどこにどのようなしわ寄せや歪さが生まれ、そのために具体的にどのような処方箋をつかうのかの分析や的確な発言がない。まるで、大飯原発再稼働と同じ展開になっている。
 
消費税増税によって最初に打撃を受けるのは年収300万円以下の低所得世帯、あるいは単身世帯。当然ながら、低所得者ほど消費負担が大きくなるからだ。同時に、地域の中小零細の自営業者。規模が小さい分、ただでさえ、量販店のような値引き攻勢がかけられない。その分、消費者に税負担を転嫁できない。
 
また、下請け、孫請けの業者は、発注先から消費税増税分が負担されるわけではなく、受注金額据え置きのまま、そこから増税分を自腹で負担することになる。
 
今日の報道特集でもふれていたが、大店法が施行されたときから、地域商店街は打撃を受け、大規模店舗やショッピングセンターが乱立する中で、地域の飲食店、物販店は消滅し、地域から商店街が姿を消していった。いまでさえ、多くの個人商店、自営業者が消費税納税に苦しみ、滞納や分納状態になっている。
 
税務署は、そうした事情はお構いなしの取り立て屋だ。他の人は納税しているのだから、納税は当然。できないなら、保険から車両から家屋から、銀行口座から差し押さえする。支払をとめてでも、納税しなさいといったことを平気でいってくる。仕入の支払を止めたら、信用を失い、仕入ができなくなり、仕事は続けられない。そういえば、ならば、いっそ、仕事などやめてしまいなさい。そもそも、税金も払えないのに事業を続けることがおかしい…となる。
 
確かに、この国の財政は破綻へ向かっている。だが、それをしてきたのは、自民党時代からの累積されたその場凌ぎの経済政策と国債発行がもともとの原因だ。まして、この20年の日本を取り囲む経済情勢、さらには、リーマンショックから東日本大震災といった本人たちの努力だけでは解決できない要因も生まれている。情勢は、単にマクロな経済分析だけで解決するほど簡単なことではない。

うちの会社も、過去10年から5年ほど前までの5年間、消費税の滞納と延滞税の納付で苦しんだ。得意先の担当部署がなくなる。担当者が異動、停年になる。広告収入の減少、販売ソフトの低迷などから、制作予算や本数が激減するといったことが起きた。そうした中で、事業規模を縮小し、リストラをし、経費を削減しと、いろいろなことをやった。税務署にこちらから何度も足を運び、事情を説明し、しかし、担当者のサラ金業者と思うような言動と厳しくやり合ったこともある。実際、延滞税率はサラ金並みの税率だ。
 
幸い、うちは事業規模の縮小と業務の見直しで、当初500万近くあった消費税と延滞税を払い切ったが、それまでの道のりは本当に辛酸ものだった。景気がいいときなら、苦にならない金も、状況が変われば重い負担になる。

 
当時、消費税負担の大きい企業に一年ないし二年、減額するか、凍結する政策を検討していた政治家が唯一いた。それが、小沢一郎だ。同時に、行政改革を先行すべきだとも論じていた。日本経済が低迷時期になったとき、自公政府は、一斉に国税をつかい、滞納消費税を回収しようとしていた。しかし、小沢は、それより前にやることがあるといい続けていたのだ。
 
マスコミやマスコミの提灯識者の多くが、そして、影に何やら圧力のありそうな検察も小沢については、常に叩き続けている。経世会以来のダーティなイメージをきらう国民も多い。確かに、政治と金について、そのリアルさを痛烈に知っている男だ。
 
今回の離党問題でもスタンドプレー、国民の人気取りとあれこれいわれている。だが、郵政民営化が地域に問題を残し、自公政治の中で地域が見捨てられ、格差によって、遺棄された国民、棄民を生み、いままた、震災によって原発地域や福島県民を棄民としようとしている政治に、それより前にやることがある…そう明確にいっているのは、小沢ひとりだ。