秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

志がいる

昨年の年末から年始は、とにかく、観ることのできていかなった映画を中心にかなりの数を観た。
 
その中で、いい作品だと思えたものはそう多くなかったが…
 
米国アカデミー賞を受賞した、実話に基づく、『国王のスピーチ』は、丁寧で美しいイギリス英語の発音と、それに対比するオーストリア英語、折々に挿入されるシェークスピア戯曲の引用が厚みを与えたすばらしい作品。
 
邦画では、石井裕也脚本・監督の『川の底からこんにちは』、大森立嗣脚本・監督の『ケンとジュンとカヨちゃんの国』『まほろ駅前多田便利軒』、園子温脚本・監督の『冷たい熱帯魚』が印象深かった。

石井監督は、若手ではNO1といえる演技派女優の満島ひかりとこの作品を通じて結婚した。大森監督は、70年代前後前衛舞踏で名をはせた、大駱駝艦創立者で俳優の麿赤兒の長男。俳優の大森南明の兄にあたる。いずれもどこか、オレたち世代にはなつかしい「あ、映画観たなぁ…」という邦画マインドが残っている。

いずれもシネコンでの全国一斉ロードショーといった作品ではない。
 
ご存じのように、いまシネコンは大型商業施設やアミューズメント施設と連動してつくらているため、シネコン作品の上映企画として通る作品は、ファミリー受けするもの、カップル受けするもの…と相場が決まっている。そんなところで映画らしい映画が生れるわけがない。まして、園子温の作品など、R指定だから、とてもとてもw
 
演劇でも映画でも、大劇場公開方式に乗った作品も必要だし、こうした単館系で全国ロードショーを打つ作品も必要。それを追って、名もなき小劇場の名もなき舞台がつくられたり、インディーズ系の映画がつくられることも大事だ。ただし、作品に志が必要。志というのは、いわば、才能だ。それがない作品が多いから、当りといえる作品が年々少なくなる。

年末から年始。相模原のかみさんが尿管結石で救急車で運ばれるというトラブルはあったものの、幸い薬で小康状態になり、病院通いとはならないで済んだ。おかげで映画をDVDで楽しむ時間も持てたし、恒例の寒川神社へのお参りも、そんなこんなで彼女とのみそかデートを延期した息子と久々二人で行くこともできた。
 
気づけば、正月休みも今日まで。明日から、新年の活動が実質始動…という人も少なくないだろう。今年は週末が3連休。実質は10日から…という人もいるかもしれない。
 
今年1日は、地震と共に新年を迎えた。まだまだ、この国は、人の心も生活も政治もまた揺れ続けている。今年は政治、経済もまた揺る続けそうな情勢…。
 
こんなときこそ、自分の生き方や進み方、普段の人のふれあいのあり方に志がいる。