秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

無頼派の死

「だから、ぐだくだいっていないで、やってみなきゃわからんだろうが!」
「やれるか、やれないじゃなくて、やるんだよ!」
「正しく、清く、美しくって…そんな風に生きてる人間なんて、どこにいるんだよ。正しいばかりで、人が生きられんのかよ!」
 
権威やしがらみ、これまでのルールや経験…あるいは常識。歳とった奴がぐだくだいうつまらない説教や社会常識…だらだらした過去の自慢話…そんなもん、なんぼのもんじゃ…。それよりずっと大事なことが世の中にはあんだろうがよ。それもわかんないで、説教してるんじゃねぇよ。
 
ぐずぐず言う前に、立てよ。歩けよ。走れよ。
 
でも、オレは息が切れたら休むけど(笑)。じゃ、なっ!…みたいなことをオレはある俳優の芝居や俳優としての成り立ちから学んだ。
 
川向う。下町で育って、銀座の明るいネオン街にいきたくて、高卒で就職した。最初の日、赤いネクタイをして会社にいった。そこが憧れの銀座だったから。当然、浮いた。が、しかし、そんなヘンな奴をかわいがってくれる上司がいて、「お前、サラリーマンなんかやってないで、役者にでもなってみたらどうだ」といってくれた。その一言で俳優を目指した。

そして、これまで前例のない無頼派の俳優が誕生した。ブルースも唸った。それに憧れて、若い無頼派の俳優も登場した。道をつけたのは、原田芳雄。そのあとを追ったのが松田優作。亡くなる順番は逆になった。
 
高校から大学時代、そして劇団をやっていた頃、原田芳雄が出ている…というだけでチャンネルを回し、映画館へ足を運んだ。しかし、自分がその歳になると師匠はいらなくなった。単なる憧れは等身大の自分の生き方に変わっていた。それは、松田優作もそうではなかったのか…と思う。いや、そういう生き方を現実に選ぼうとした奴でまともに現実とぶつかってきた奴はみんなそうだと思う。

無頼派を気取りながら、無頼派とは遠いところを生きている人間は多い。そういう奴はやさぐれているように見えて、きっと長生きする(笑)。
 
やることやったら、おさらばよ…くらいの気持ちで生きなくては、男の人生、おもしろくない。回りは迷惑するだろうが(笑)。
 
ひな形があってもなくても、結局は自分はそういう生き方をしていたのだ…そう思える奴は、まともに無頼派を生きている。