秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

大切な時間

ふと気づけば、クリスマスのCMが流れている。おいおい…まだ、早いだろうと、思うのはオレだけか。
 
いつも季節の歳時に気持ちがついていけない。30代から40代初めまでは、景気がいまより良かったこともあり、また周囲のノリもあって、せかせかと歳時を追いかけていたような気もするが、最近では、そのスピードが煩わしいとさえ思える。
 
まして、いまの世の中、先々の不安を抱え、クリスマスや正月どころではない人も大勢いる。今日の仕事に疲れ果てている人もいるだろう。今日の暮らしに追われて、働きづくめで、立ち止まることさえできない人もいるかもしれない。
 
経済的な問題だけでなく、病気や介護、子育ての悩みを抱える人も少なくない。
 
本来、年末や年始というのは、自分の一年の生活を振り返ったり、次の年をよりよい自分として生きるための心のけじめをつける時期。と、オレは思う。
 
季節の歳時というのは、それがある意味が必ずある。
 
長い歴史と経験、そして伝統の中で、あえて設けられたからには、そこには意味が必ずあるのだ。その意味をかみしめることもなく、無為にコマーシャリズムに踊らされていいものだろうか…。
 
そんなときに、著名ナレーターTさんから、朗読会の案内が届いた。12月1日の公演。年末に入ろうかというこの時期、ご自分の仕事の都合もあったのだろうが、あえて、しみじみとした朗読会を開く。Tさんらしいと思った。
 
ふと足を止め、慌ただしさに忘れていた時間と気持ちを取り戻してほしい…。Tさんと話をしていて、彼女が朗読会に抱く、こだわりを聞いたことがある。
 
撮影雑務や新しい編集システムの動作確認に追われているオレ。Tさんにそうつぶやかれたような気になるのは、オレも大切な時間を置いてきぼりにしているからだろう。
 
せめて、撮影現場では、人を大事にできる自分であろうと、改めて思う。