秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

不向きな男

台本のラストでうなっている。
 
イガとネーリストのKが、ハマ御用達の広島焼の店で晩飯をしようと電話。酒は飲めない、食事だけと断って、顔を出す。
 
赤坂と乃木坂の中間地点。オレがたまに行く、中華料理の珉珉(チェーン店のあれではない)のすぐそば。イタリア料理店ジローのそばで、かつ、オレのボランティア仲間のYさんがご主人とやっている卍という和食屋の近く。
 
あれあれ、ハマはこんなところに出没していたのか…。
 
広島出身の人は、郷土愛が強い。広島出身の知人、友人もその愛の熱意で、広島焼きや広島の牡蠣のファンになる人は少なくない。
 
かつて、広島で平和イベントをやった関係で、オレもそのひとり。
 
気のいい、中年のご夫婦の笑顔も素敵だし、店の空気も庶民的。会計はイワがしたのだが、これも4人でそこそこ食べて、ほどよく飲んで実に安い。まさに、酒を飲むというより、食事の店。
 
書きかけの台本がなければ、もっとぶっ飛べたのだが、そうもいかず、ウーロン茶を飲み、周囲の盛り上がりをどこか遠くの声に聴く。
 
Kが、オレにそっと、好きな人できました?と、尋ねる。おいおい、オレは、そんなに腰の軽い、軽男(かるお)君ではない。まして、自分から行くということは、ほどんどない。言葉や酔ったノリはあっても、マジ恋をするほど、若くもない。
 
それよりは、映画、それよりは、小説、それよりは、舞台。
 
その中で、いとしい女と出会えれば、それでいいし、出会えたとしても、オレの夢に付き合える女でなければ、オレという男も理解はできない。ありがちな幸せを求めるだけの女性には不向きな男だぜ。