秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

久々のワークショップ

プロダクションのOさんに頼まれていた、Oさんの友人が主宰するというワークショップへ。午後1時から2コマの講義をこなし、終わったのは夕刻。
 
予想していた通り。ワークショップにきている俳優たちが鍛えられてない。
 
いままでいろいろなワークショップをやってきたが、今回は、スタジオに入るなり、まず、驚いた。大半が運動用のウェアに着替えてない。運動用のシューズも履かず、中にはビーサンで来ている奴もいる。
 
一概に俳優たちが悪いとばかりはいえない。そういう指導、教育をしていない主催者やマネージャーの質が低いのだ。というか、オレは臨時講師だが、いままで教えてきた奴らは、どういう輩なのかと腹が立ってきた。何を教えてきたのか、本気で俳優を育てようという気がない。
 
形ばかりワークショップをやったところで、これでは、俳優に何も身に付かないばかりか、無為に時間を過ごす。授業料なども払っているのだろうが、そのお金も無駄。
 
だが、実は、これほどひどくなくても、こうした手合いのワークショップや劇団は少なくない。それが演劇の質を落とす。仲間内でチケットをさばき、身内の人間やその関係者を集めて芝居をやる。実に幼稚で、稚拙で、質の悪い芝居が、そこで量産されれる。
 
わずか1回の講義で、たいしたことは教えられないが、この俳優たちの心に大切な何かを残せればと、1コマわずか90分の講義の中で、明日へつなぐヒントだけは与えてきた。
 
終わって、ふと思ったが、30代の前半教えていた芸能プロダクションのワークショップも、40代の頃、エリオフィスを中心に20名程度のワークショップを二年近くやっていたことがあるが、参加する俳優たちへの意識づけや教育は行き届いていたなと改めて思う。
 
しっかりしたワークショップがないことで、一番、気の毒なのは、俳優たちなのだ。昨日教えた俳優たちの中にも数人、芝居をきちんと教えれば成長する奴もいた。
 
演劇を知り、実際の舞台の生理も知り、欲を言えば、映像の制作現場も知る人間で、体系づけられた理論を持ち、本気で俳優を愛し、俳優を育てようという気概のある指導者が、この国には実に少ない。
 
やりながら、いまワークショップに参加していたいといってくれている俳優たちの顔が浮かんだ。劇団をやっていた頃、きついワークショップ、稽古に必死で喰らい付いてきた、かつての俳優たちの顔も浮かんだ。
 
こうしたワークショップを見せられるのは、その思いに応えろという天の啓示ではないか。もう一度、本気で俳優を育ってみろ。そういう学びをもらったような気がした。
 
それはそれで、ありがたい。こうしたワークショップに関らせてもらったこに、最後は感謝の気持ちになる。