秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

また起きてしまった…

週末締め切りで、月末クライアント提出のコンペ企画書の作成で缶詰状態。
 
先週は3作品、都合5本の企画書を書き、缶詰状態の流れで、月曜から大物の企画書づくりをしている。ちょっとヤバイ。
 
東京は梅雨入りしたというのに、予報が外れ、真夏のような日が続いてる。しかし、さすがに湿度が高い。鹿児島県で集中豪雨が続いているが、梅雨前線が日本海上空に張り出している寒気のせいで、例年の経度まで上昇していないらしい。
 
そんな、天気はいいが湿った朝…。
 
インターネットのニュース速報で、マツダの宇品工場構内に車が侵入し、11人もの男性従業員を撥ねたという事件が流れる。
 
即座に、マツダに勤めていた非正規雇用の元従業員が起こした事件だろうとピンときた。そして、後報で、やはり、犯人が期間工とわかる。撥ねられた方の一人が亡くなったことも知った。
 
秋葉原無差別殺傷事件を意識しての犯行というのは、速報が流れて、やはり、すぐにわかった。
 
二年前の6月、秋葉原無差別殺傷事件が起きたとき、ブログでも、オレのHPでも警鐘を鳴らした。加藤智大の幼少年期から成人するまでの家庭の問題を一つのモチーフにして、翌月の7月に、緊急に制作発巻した社会教育作品『傷つけられる思春期』、11月に上梓した拙著『思春期の心をつかむ会話術』(学陽書房刊)でも警告した。
 
正規雇用、とりわけ、自動車など製造関連でのそれは、抜本的な労働環境、雇用条件の改革、改善を行わなければ、同じような事件が再発する。単純労働であればあるほど、メンタル面を含めた配慮が必要。そういってきた。
 
もちろん、企業側だけに問題があると批判しているのではない。また、犯罪を冒し、人命を奪った犯人を擁護しているのでもない。
 
事件を再発させないために、非正規雇用でしか働けないという現実に直面してしまった人間の心の問題をそのままにしていてはいけないと語ったのだ。
 
この事件の詳細については、まだ捜査が進まないと不明な点は多いが、マツダ側の記者発表が、マツダ側には全く問題はないという点を執拗に強調していたのが気になる。
 
オレも学生時代、同僚や上司との会話らしい会話もなく、人間関係が極めて薄い単純肉体労働をやった経験があるから、わかることがある。
 
短期の勤務で、ただコマのように単純労働をするという職場環境は、実にストレスが高い。まして、加藤もそうだが、非正規雇用労働に従事する人は、短期しか雇用されないため、職場を転々とする。それがまた不安や焦燥からストレスになる。
 
マツダに問題はなかったにせよ、製造業全体が、秋葉原を教訓にして、非正規雇用の雇用問題だけでなく、メンタル面の対策を講じていかなければならない時代なのだ。精神衛生の面に目を向けないと、こうした事件は構造的に起きる。
 
自分は誰からも相手にされず、認められない人間だとどこかで確信してしまった人間は、いわば自殺行為のように犯罪を起こす可能性があるし、過激な犯罪を起こすことで、自分の存在証明にしようとする。売名行為。
 
その認識を持たなくては、事件を抑止できない。にもかかわらず、昨夜の日本テレビの夜の報道番組で、キャスターの男性は、「こうした事件を起こすことは理解できないし、許せないことです」と、事件の報道を締めくくった。
 
こういう鈍感な人は報道のキャスターをやる資格があるのだろうか。理解できず、許せないことで、事件の再発は防止できるのか。報道がやるべきことは、起きた事件の真相を突き止め、二度と事件を起こさないために、こうした事件が起きる背景や構造を問題にすることではないのか。
 
それをしてこなかった結果、ストレス禍から他人を傷つけてよしとする人間の出現を許してしまっている。大事なのは、人の命を守ることだ。ただ犯人を批判するだけで幕引きしていては、何の罪もない人の命が、簡単に犠牲にされる。
 
本気でそれが許せないなら、理解できません、許せませんでは、すまない!