I LOVE YOUと白い笑い
何の当てもなく独立し、最初に仕事を始めたのは、宝島社だった。
そこの局長にずいぶん眼をかけてもらい、いままでやれなかった規模もステージも大きい仕事をふってもらった。
苦労も、我慢も必要だったが、いまはグループ企業の社長に昇進しているその方には大変お世話になった。
尾崎がやれる…。それは、オレにとって、感慨深いものだった。
思春期や青春期の挫折と孤独、そして、人に受け入れらない思いと、それゆえの反抗…。オレたちが思春期、青春期経験した、そのすべてが尾崎にはあった。
思い入れの深さを揶揄されたが、オレは、それでいいと、作品の中に、<白い笑い>というキーになる、女性の笑い声を入れた。最後まで物議をかもしたが、制作マンたち表現者には理解されても、クライアントたちには理解されなかった。
尾崎が孤独だったのは、大衆の中の軽薄で、どこか覚めた、白い笑い…。