秀嶋賢人のはてなブログ

映画監督・NPO法人SocialNetProjectMOVE理事長

デジタル時代の恋のみつけ方

うちのOA機器を担当しているMに依頼していた、ノートパソコンが入る。

前のデスクトップは、経理以外にはほどんど使っておらず、しかも、もう5年以上前の機種だから、読み出しがメチャ遅い。経理に使い方の説明をするときも、説明のスピードに追いつけず、イライラしていた。

しかし、今回入れた新機種は、すこぶる早い。しかも、軽量。容量も2G。キャリングケースもつけて、外出先や事務所以外の場所で、作業ができるようにした。

毎日のように、外を飛び回る仕事でもないし、外に出るときは、打ち合わせや撮影だから、実際には、外で使うことはほとんどないと思う。かなり前に、B5版のノートを持っていた。遠出のときに、携帯してはみたが、結局、メールの確認くらいで、さほど使うこともなかった。

営業や販売関係の人間には、外出先でも常時必要だろうが、オレのような仕事の人間には、常に手元にITがなくては、生活できないということはない。ま、念のため程度だ。実際には経理とPDFデータの作成、それに動画の読み込みや確認のためだ。

オレが最初に使ったデジタル機器は、いわゆるワープロといわれていた文字入力機器。それがPCに代わったが、まだ現在のようなWINDOWSはない時代。データを加工するときは、コンピュータ言語が必要だった。それが、あれよあれよと進化し、機器も安くなった。最初に携帯電話を使うようになったときも、でかく、重かった。それが、この20年で、テレビまで観れるようになっている。

20年ほどの間ということは、いまの20歳以後の奴らは、生まれたときから、デジタル空間が当然の社会に生きていることになる。ゲームソフトを考えると、30歳前後の奴らも、デジタル世代といえるのだ。

それは、明らかに精神形成や物事のとらえ方、考え方に、40代以降の奴らと違いがあって当然。とりわけ、現実体験の違いは大きい。若い奴らの中に、マニュアル神話や占い、オカルトといったエセ信仰が広がっていることと、それは無縁ではない。何かにハマると、そこから抜け出せなくなる依存症傾向も同じ。マインドコントロールに簡単に落ちてしまうのも、そのひとつ。

とりわけ、生真面目で、素直な性格で、それでいながら、子どもの頃から、愛情に恵まれなかったような奴や会話が得意ではなかったような奴は、マインドコントロールの洗礼を受けると、容易にそれを自分の考えだと思い込んでしまう。

それは、現実の人間関係で、自分という人間を認められたことがないからだ。あるいは、自分が苦しみの中にあるとき、その苦しみや痛みを共有してくれる他者に恵まれなかったから。孤独とさびしさ、不安、傷心。それらは、マインドコントロールによって、他者を洗脳しようとしている人間には、格好のネタだ。

何か縋るものが欲しいときに、人は、思わず、マニュアルや占い、オカルト、宗教に行く。それ自体は、悪いことではないが、きちんとした検証もなく、客観的に問題を分析できる力もないところで、それをやると、結局は、自分が支配される結果になる。ひどいことになると、いっちゃってるおねぇちゃん、おにぃちゃんになる。

航空自衛隊幕僚長を解任された、田母神の本がバカ売れし、侮蔑した言葉を使う女性占い師の携帯サイトが年間1億円以上の利益を出す。そうしたものを支持している奴らの中から、受け売りをやる奴らが出てくる。受け売りをやる奴らが、また、その受け売りをやる。

そこには自分という人間の考えも意見もない。

人は何がしか、他者に影響を受けながら成長している。だが、それは、自分という己をつくり上げるために、そうするのだ。だれかの考えや意見をそのまま鵜呑みにし、それを自分の考えだと思い込み、自分という人間の自由をだれかに売り渡すためではない。

自己を鍛え、自らの意志を持つ。それがない人間に他者と真の絆は結べない。それは異性関係においても
同じ。オレらしいオレ、私らしい私。それがない人間は、男も女も魅力がない。そうなると、男も女も、幻の異性を求めて、軽薄な付き合いをただ重ねるだけで終わる。

しかし、探すのは幻の異性ではない。探さなくてはいけないのは、他者ではなく、自分らしい、人間らしい自分なのだ。